子供が勉強をしなければならない理由
2019年6月3日
あなたは小学校や中学校の頃、勉強した内容を覚えてますでしょうか?
たぶん、あくまでたぶんですが(笑)「勉強しなさいっ!!」といつも言ってるお母さんも中学生の時勉強した内容を詳しくは覚えていないと思うんです。二次関数がどうだとか、応仁の乱がどうだとか。
大人になったら忘れてしまう様な、というか別に忘れてしまってもいい様な事を覚えるって、意味があるんでしょうか?
「勉強しないと高校に行けないのよ!」
そうです。進学するには入試に受かる必要があるので、その為に勉強をするというのは大きなモチベーションの一つだと思います。よりレベルの高い学校に進学することでその後の人生の可能性は大きく変わってきますから。
しかし果たしてそれだけでしょうか?目標の学校に入りさえすれば勉強からは卒業するんでしょうか?
勉強する理由
私は育成年代に勉強する目的は、入試に合格する為というのを除いて、大きく二つあると考えています。
学び方を学ぶ
一つは、学び方を学ぶということです。
「生涯学習」という言葉があるように、本来、学ぶことに終わりはありません。
特に最近はググればなんでも出てきますよね。
※ググる・・Googleで検索すること
少々、専門的なことでも知りたければいくらでも学べる環境が手のひらの中にある時代です。情報は溢れています。
そういう時代において、学び方を知っている人と、「そんな難しい文章は読んでも意味が分からん!」で済ます人との差は非常に大きいです。日々その差は開く一方なのが想像できると思います。
自慢するわけではありませんが、私はこの4、5年で独学でプログラミングを習得しスマホアプリをリリースしたり、アプリ作成の入門書を出版したり、webサイトを作ったりできるようになりました。このサイトも自分で作っています。
これだけ情報が溢れていれば、全く知らないことでもその気になればいくらでも学ぶことができるものです。
学ぶ能力、学ぶ意思のある人にとってはこんなに恵まれた時代はありません。
その学ぶ能力を培うのが、勉強です。
育成年代に、知らないことを勉強し理解していくという過程を繰り返すことで、学び方を学んでいるという側面は非常に大きいでしょう。
学んだ内容は忘れても、学び方は身体に、いや頭に染み付いているものです。自転車の乗り方みたいなものですね。
より抽象的な概念を獲得する
もう一つの勉強する目的は、より抽象化された高度な概念を獲得する為です。
どういうことか?
例えば、歴史の勉強をする時に、縄文時代はこんな土器を作ってたとか、戦国時代に織田信長という人が無茶苦茶強かったとか、世界中を巻き込んだ大戦争の時代があったんだとかっていう風に、初めは一つ一つ具体的に年号や登場人物を覚えていくわけです。
現代とはあまりにかけ離れた話なのでよく分からないなと思いながらも一つ一つの出来事を覚えていった結果、おぼろげながら人類が辿ってきた大きな流れを知ることになります。
年表が繋がり、ストーリーが繋がり、過去の人類の思いが今に繋がっていることを実感した時、『歴史』という言葉の重みに改めて気づきます。初めは科目の一つを表す単なる記号でしかなかったにも関わらず。
『歴史』という言葉の概念を知るには、個々の歴史を学ぶしかありません。
『歴史』とは教科書の中だけの話ではなく、自分の人生にも歴史はあるし、学校にも歴史があり、会社にも歴史があり、家族にも歴史があることに気づくでしょう。それが『歴史』という概念を獲得するということです。
もう一つ概念を獲得する例を挙げます。
足し算って知ってますよね?
では、『足し算』とはどういう操作なのか説明できますでしょうか?『足す』とはどういうことなのか説明できますでしょうか?
足し算はできても、それを言葉で説明することは難しいものです。足し算を知らない人に「とにかく足すんだよ!」と言っても理解できません。
『足す』という概念を理解するには、足し算の問題を繰り返し解いてできるようになるしかないのです。
足し算が出来るようになることで、『足す』という概念を手に入れます。
『足す』という言葉が数字の足し算だけでなく、もっと広い意味に拡張されるのは言うまでもありません。
そんな風に、初めはよく分からないまま手順を覚えたり学習したりしているうちに、私達は知らず知らずのうちに、より抽象化された高度な概念を獲得しています。
それこそが、例えやりたくなくとも勉強をする本当の意味だと私は思います。抽象化された高度な概念を理解するには具体的な作業を繰り返すしかありません。
いきなり抽象的で高度な概念だけを知ろうとしても不可能ですから。
なのでお母さん、安心して下さい。
学生の時に暗記した事なんて大人になると普通は忘れます。ただし具体的な記憶は忘れてしまっても、その記憶から得た抽象的な概念というものは決して忘れるようなものではありません。
だから大人は子どもよりも遥かに抽象的で高度な思考ができるんです。それは育成年代に勉強していたおかげです。
逆に言えば、「どうせ大人になったら全部忘れるんだから勉強なんてしなくていいんだよ。」と子供に言うのだけは絶対にやめましょう。
ぜひ、お子様にはその場しのぎの勉強ではなく、大人になってからこそ役に立つ有意義な勉強をさせてあげて下さい。
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